海外進出の際に検討したいこと その1の続きです。
海外進出の際に検討したいこととして、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に・・・
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
が大切になります、と説明しました。
さらに、
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
を調べるために、クリアランス調査を行う必応があると説明しました。
それでは、
クリアランス調査をすれば、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
の検討へ移ってもよいのでしょうか?
実は、もう一つあります。
(続きは次のページに)
それは、
現地におけるパートナ企業を管理できるか?
です。
★よくあるトラブル事例★
例えばこのような例があります。
1.現地にて、レストランを展開する場合
国内で成功したレストラン。
これを海外へ展開したい場合。
海外活動を自社だけでは到底賄えない・・・
このようなときには、
現地のパートナ企業に業務委託を行います。
この際、国内の実績をPRする場合には、
国内のレストラン名(商標)をパートナー企業にも使用することが多いのですが・・・
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/1412b7cdb8f1305946c4d4ca7576d38c-300x237.jpg)
このパートナー企業・・・
現地の知り合いの企業に対して、無断で、レストラン名(商標)を使用させてしまいます。
「名前のまた貸し」と表現するとイメージしやすいでしょうか?
仮に、知り合いの企業が劣悪なサービスを行った場合、
レストラン名(商標)に劣悪なイメージがつきまとう結果、
国内で成功したレストランの実績・信用が毀損してしまいます。
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/176345cfa0fd174c92134438228cd9d3_l-300x214.jpg)
これでは、自社のジャパニーズプランドが失墜してしまいますね。
2.パートナー企業に、製造販売を委託する場合
このパートナー企業との取り決めにおいて・・・
自社商品を月1000台製造販売すること
製造数に応じたロイヤリティの支払いを行うこと 等
と、取決めしました。
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/13aed58b489335ec00ee4c0639d4ac9a_m-300x225.jpg)
しかし、
現地で調査してみると・・・
委託数よりも多くの自社商品が出まわっている・・・
よく良く調べてみると、
パートナー企業が、無断で月2000台を無断で製造販売し、
ロイヤリティの支払いは、1000台分しか行われていない。
(まるで、パートナ企業が模倣行為を行っているようですね。)
これでは、折角の海外進出が、パートナー企業によって頓挫してしまいます。
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/92f5d4b610fa9c0a291c5c85aabd4324_s-300x225.jpg)
3.問題の所在はどこに?
海外進出のために提携したはずのパートナー企業も、
提携範囲を超えてビジネスを行ってしまう場合があります。
特に、遠く離れた海外においては、
パートナー企業が勝手な行動を行う可能性は否定できません。
したがって、これを取り締まる必要が出てきます。
4.どうすれば?
パートナー企業の行動を管理するためには、
自社の商標の使用は決められた範囲で使用させる契約
や
自社製品の製造販売は決められた範囲で行わせる契約
といった契約を単に交わすだけでなく
範囲外で使用した場合のペナルティを貸す
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/bd8ac61dc97c961c8fe4b1055a073720_s-300x200.jpg)
という仕組みを作ることが大切になってきます。
このために、商標権や特許権(意匠権も同様です)が有効な手段となります。
これにより、約束してない条件でパートナー企業が使用した場合には、
商標権侵害や特許権侵害を根拠に、
当該行為の差し止め
当該行為に関する損害賠償
を請求することができます。
このように、ペナルティを課すことができる状態を作ることにより、
パートナー企業は、自社との約束を守るようになります。
5.まとめ
(1)海外進出の際に検討したいこととしては、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に・・・
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
だけでなく、
パートナー企業の行動を管理できるか?
となります。
(2)そして、
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
のためにはクリアランス調査が必要となりますし、
パートナー企業の行動を管理できるか?
のためには、現地での商標権や特許権の取得が必要となってきます。
つぎは、現地での商標権や特許権の取得に関する「よくあるトラブル」について述べます。
何かのご参考になれば幸いです。
![](https://kame-pat.jp/wp/wp-content/uploads/2023/08/IMG_0246A-e1478065051920-242x300.jpg)
かめやま特許商標事務所
弁理士 亀山 夏樹