海外進出の際に検討したいこと その1の続きです。
海外進出の際に検討したいこととして、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に・・・
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
が大切になります、と説明しました。
さらに、
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
を調べるために、クリアランス調査を行う必応があると説明しました。
それでは、
クリアランス調査をすれば、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
の検討へ移ってもよいのでしょうか?
実は、もう一つあります。
(続きは次のページに)
それは、
現地におけるパートナ企業を管理できるか?
です。
★よくあるトラブル事例★
例えばこのような例があります。
1.現地にて、レストランを展開する場合
国内で成功したレストラン。
これを海外へ展開したい場合。
海外活動を自社だけでは到底賄えない・・・
このようなときには、
現地のパートナ企業に業務委託を行います。
この際、国内の実績をPRする場合には、
国内のレストラン名(商標)をパートナー企業にも使用することが多いのですが・・・
このパートナー企業・・・
現地の知り合いの企業に対して、無断で、レストラン名(商標)を使用させてしまいます。
「名前のまた貸し」と表現するとイメージしやすいでしょうか?
仮に、知り合いの企業が劣悪なサービスを行った場合、
レストラン名(商標)に劣悪なイメージがつきまとう結果、
国内で成功したレストランの実績・信用が毀損してしまいます。
これでは、自社のジャパニーズプランドが失墜してしまいますね。
2.パートナー企業に、製造販売を委託する場合
このパートナー企業との取り決めにおいて・・・
自社商品を月1000台製造販売すること
製造数に応じたロイヤリティの支払いを行うこと 等
と、取決めしました。
しかし、
現地で調査してみると・・・
委託数よりも多くの自社商品が出まわっている・・・
よく良く調べてみると、
パートナー企業が、無断で月2000台を無断で製造販売し、
ロイヤリティの支払いは、1000台分しか行われていない。
(まるで、パートナ企業が模倣行為を行っているようですね。)
これでは、折角の海外進出が、パートナー企業によって頓挫してしまいます。
3.問題の所在はどこに?
海外進出のために提携したはずのパートナー企業も、
提携範囲を超えてビジネスを行ってしまう場合があります。
特に、遠く離れた海外においては、
パートナー企業が勝手な行動を行う可能性は否定できません。
したがって、これを取り締まる必要が出てきます。
4.どうすれば?
パートナー企業の行動を管理するためには、
自社の商標の使用は決められた範囲で使用させる契約
や
自社製品の製造販売は決められた範囲で行わせる契約
といった契約を単に交わすだけでなく
範囲外で使用した場合のペナルティを貸す
という仕組みを作ることが大切になってきます。
このために、商標権や特許権(意匠権も同様です)が有効な手段となります。
これにより、約束してない条件でパートナー企業が使用した場合には、
商標権侵害や特許権侵害を根拠に、
当該行為の差し止め
当該行為に関する損害賠償
を請求することができます。
このように、ペナルティを課すことができる状態を作ることにより、
パートナー企業は、自社との約束を守るようになります。
5.まとめ
(1)海外進出の際に検討したいこととしては、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に・・・
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
だけでなく、
パートナー企業の行動を管理できるか?
となります。
(2)そして、
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
のためにはクリアランス調査が必要となりますし、
パートナー企業の行動を管理できるか?
のためには、現地での商標権や特許権の取得が必要となってきます。
つぎは、現地での商標権や特許権の取得に関する「よくあるトラブル」について述べます。
何かのご参考になれば幸いです。
かめやま特許商標事務所
弁理士 亀山 夏樹