先日お会いしたお客様。
数年前に特許を出し・・・
それから10か月が経過したころ。
優先権の利用を確認すべく、発明品に関する事業の現状を伺うも
「諸々の事情により、事業化は難しく・・・今回の発明は、権利化を見送ろうかなぁ」とのこと。
ところがそれから1年後。
ひょんな出会いをきっかけに、その発明品についての商談が入る
しかも、スポットではなく、それなりの規模のようで・・・
かめやま:おおぅ!それは、良かったじゃないですか!
お客様 :そうなんですよー。発明品を見たいといわれたのですが、まだまだ改良も必要だし。
かめやま:そうであれば、○○の関心について探ったほうがよいですよね
お客様 :なるほど。しかし、その流れで、こちらが非公開情報までしゃべってしまいそうで・・・
かめやま:◇◇な観点で切り分けて、こっちならしゃべってOK。そうでなければお口チャック、とすればよいのでは?
お客様 :・・・うーん
かめやま:どうされました?
お客様 :やっぱり。かめちゃん、一緒に来てくれない?
かめやま:・・・ その商談にですか?
お客様 :一人だと、余計なことまでしゃべってしまいそうで・・・
かめやま:いつ頃ですか?こちらの準備も必要ですし。
お客様 :春になったら・・・
かめやま:であれば、準備時間が確保できるのでいいですよ
特許出願・・・の後にすべきこと
出願から3年間は、無条件で出願中を維持できる。
出願中にすべきことは、出願の内容を公表して営業活動。
その営業活動により
市場が反応する・・・
商談が舞い込む・・・
であれば
本当に権利取得したい形が見えてくる
経済的価値のある部分が見えてくる
これが一つの権利化のタイミング・・・
もし、出願した内容が、市場の反応がずれていた場合は、
A ずれを補充するような別の特許出願を行う・・・(補強の発明については、お口チャックで)
B 特許出願が難しければ、意匠・契約など別の観点で、自社のポジションを守る手立てを行う。
C 諦めて別の事業を検討する
このように動かないと、特許出願のコストパフォーマンスは、中々向上しません。
特許出願は投資活動。
事業の進捗と連動させなければ、コストパフォーマンスは悪くなるばかり。
本当は市場の反応を見てから出願したいところ・・・・
ところが、特許(実案・意匠も同じ)の世界では権利化のために新規性が要求され・・・・
このため、発表前の出願が原則。
もちろん、救済措置として、新規性喪失の例外がありますが
そこも完全な救済ではなく・・・場合によっては、使えない場合も。
ということで、どうしても、不確実性が残ってしまう。
この不確実性をどう担保するかといったマネジメントが肝なのですが・・・
このマネジメントが甘いと、結果として、使えない箱モノをドンドンつくっちゃう某自治体のようなもの。
※もちろん、出願してすぐに権利化に動くこともあります。
が、条件が揃わないと見切り発車の要素が大きくなり・・・
まとめ
特許出願の後にすべきこと
(1)出願が活きている間(通常は3年間)に出願内容について営業活動を通し、その経済的価値を判定する
(2)出願した内容に経済的価値が見込めれば、権利化へ。そうでなければ、補強を考える。
(3)補強策の関係で、(1)においては済ました特許出願に書いていない非公開情報(補強策に関係あること)はお口チャック
特許出願は投資活動。
リターンが見込めそうな領域の権利化が望ましく・・・
リターンが見込めない箱モノは不要ですよね。
何かの参考になれば幸いです。