BLOG

特許や商標など「知的財産の活用」に関する情報をお届けします

中小企業にとって特許出願が必要な4つのケース

中小企業にとって特許出願が必要な4つのケース

弊所は、中小企業200社以上の相談実績があります。

これまでのお客様の相談内容を振り返りながら、

中小企業にとって特許出願が必要な場合について述べたいと思います。

1.他社による模倣防止

特許出願が必要な場合。

すぐに思いつくのは、自社商品の模倣を防止したい場合です。

売れる自社商品は、他社も関心をもっています。

特に、その商品の利益率が高い場合は、なおのことです。

このため、「売れそうだな」「売れる」と思った場合には、

販売前に特許出願をする場合が多いです。

特に、インターネットにて販売する場合には、

その商品を多くの人が見るため、模倣されるリスクも高くなります。

しかし、特許出願が必要な場合はこれだけではありません。

弊所のお客様の例を挙げて説明したいと思います。

2.協力会社からの要請

よくあるケースは、自社商品の販売(の一部)を他社に委託する場合です。

委託先からみれば、

「売れそうだな」と思った商品であれば、

自社だけが独占して販売したい

はず。

つまり、模倣品が出ては困るのです。

そこで、

委託先は、委託元(製造元)に特許を取るように打診します。

仮に、委託元(製造元)が特許を出すことを渋った場合には、

「特許を受ける権利」を製造元から譲り受けた上で

委託先が単独で特許出願を出す場合もあります。

弊所のお客様の場合、

販売委託先から

この商品については、

貴社が特許を出さないのであれば、ぜひ、わが社で特許を出してもよいか?

という打診がありました。

しかし、

このまま、相手方に特許を出させてしまうと、

この商品が売れた場の利益はあまり得られないだろう・・・

ということで、お客様の方で出願されました。

実は、このお客様。

過去にも似た経験がありましたが、

当時は、

まさか、特許を出すほど売れるものでもにないだろう

ということで、

相手の特許出願を無料で許可してしまいました(※)。

その後、予想に反して、その商品が売れてしまい、事業のチャンスを逃してしまいました。

※なお、「相手方に特許出願を無料で認める」くらいあれば、

「有料で売る」

「譲渡の代わりに、自社の実施権(ライセンス)を確保する」

という交渉カードを出しても良いと思います。

別のお客様の例としては、海外進出の際、

現地のパートナー企業から

「現地で、特許を取ってほしい」

「現地で、商標登録を取ってほしい」

と要請されたことを受けて、特許権や商標権を取得したこともありました。

3.技術ブランドの向上

どんなに素晴らしい技術であっても、

その技術が小さな企業や無名な企業のものの場合、

その技術に対する信用はなかなか得られない場合も多いです。

ところが、その技術について特許を取得しているとなると、

その会社の技術の独自性について国が認めたということになります。

このように、特許(国)の力を利用して、

自社の技術ブランドを高めることもできます。

さらに、その発明品が他社との共同開発の場合には、

共同開発の相手方の技術ブランドを利用して、

自社の技術ブランドの向上を図ることもできます。

共同開発の相手先としては、大学や大手企業が考えられますが、

中小企業の場合には、大学の方が多いようです。

4.中抜き(浮気)防止

とある企業のお話です。

取引先から試作の開発依頼が入り、納品しました。

試作納品の後の、量産依頼を期待したものの、その発注は来なかった。

しらべてみると、取引先が、別の会社に量産依頼を出してしまった・・・

こういった話もよくききます。

このような行為を防ぐために、

すなわち、

この行為に対してレッドカードを出せるようにするためには

どのようにすればよいでしょうか?

それは、自社の試作開発で得た技術に関し、

予め特許出願を済ませておくことです。

この特許出願に基づいて特許権が成立した場合には、

取引先がその開発品を製造販売する行為は特許権侵害となります。

特許権侵害のペナルティとしては、

製造や販売差し止めや損害賠償といった民事上のものもあれば、

懲役や罰金といった刑事上のものもあります。

また、「特許出願中」という表示により、

権利が成立した場合のペナルティを利用して、

取引先に対し牽制をかけることもできます。

このようにして、取引先は、無断で、開発品の製造販売をしにくくなります。

なお、開発の契約内容によっては、

開発した技術について特許出願を自由にできない場合がありますので、

専門家にご相談されたほうが良いと思います。

まとめ

中小企業にとって特許出願が必要なケースとしては、以下の4点があることをお伝えしました。

  1. 他社による模倣防止
  2. 協力会社からの要請
  3. 技術ブランドの向上
  4. 中抜き防止

特許出願の目的として、典型的な模倣防止以外にも3点あることを覚えていただければと思います。

皆様のご商売の参考になれば幸いです。

よく読まれている記事

最近の投稿

eyecatch_fallback-img
2024年11月18日
登録番号から商標権者を調べる方法
tokkyo
2024年11月14日
モヤモヤがすっきりする発明相談
tokkyo
2024年10月15日
特許相談で「手遅れ」となること
eyecatch_fallback-img
2024年8月9日
2024年8月の営業日
jyoseikinn
2024年5月28日
【令和6年度助成金】海外進出・外国出願【5/22更新】
業務エリア
千葉県の対応エリア
鎌ケ谷市(鎌ヶ谷市) 白井市 柏市 松戸市 船橋市 市川市 我孫子市 流山市 野田市 八千代市 習志野市 印西市 千葉市 佐倉市 四街道市 酒々井町 成田市 富里市 香取市 旭市 銚子市 市原市 袖ヶ浦市 木更津市 君津市 富津市 山武市 東金市 茂原 等
東京都の対応エリア
葛飾区 江戸川区 台東区 足立区 荒川区 墨田区 江東区 豊島区 文京区 千代田区 中央区 港区 新宿区 渋谷区 目黒区 品川区 大田区 練馬区 中野区 等
埼玉県の対応エリア
さいたま市 春日部市 越谷市 川口市 吉川市 三郷市 草加市 八潮市 和光市 所沢市 狭山市 川越市 ふじみ野市 富士見市 朝霞市 等
茨城県の対応エリア
つくば市 つくばみらい市 牛久市 土浦市 石岡市 かすみがうら市 竜ヶ崎市 取手市 下妻市 桜川市 筑西市 常総市 結城市 古河市 水戸市 ひたちなか市 笠間市 那珂市 東海村 神栖市 鹿嶋市 潮来市 等

他、弊所へ相談したい方であれば、全国各地、どこへでも参ります。

技術分野
機械
自動車部品、トラック、特殊車両、ドローン、手術用器具、医療機器、トレーニング器具、ドリル、掘削装置、工事用器具、農業用器具、美容器具、油圧システム、産業機械 等
電気
電源ケーブル、コネクタ、プラグ、風力発電、太陽光発電、電力回生装置、バッテリ、EV充電装置 等
制御
マシニングセンタ及びその周辺装置、内視鏡、人口呼吸器、理化学検査装置、紙加工装置、プラスチック加工装置、ミウラ折り装置、溶接装置、洗浄装置、遊技機 等
材料
食品、化粧品、美容クリーム、増毛用接着剤、塗料、工業用接着剤、コンクリート、緩衝材、プラスチックフィルム、光ファイバ、産業廃棄物等 等
ソフトウェア
自動ブレーキシステム、遠隔医療システム、通販システム、設備の検査システム、ゲーム、販売促進システム、充電管理システム、不動産管理システム、スマホアプリ、ビジネスモデル 等
日用品
ゴルフ用品、キャンプ用品、トレーニング器具、バッグ、傘、刺繡用具、調理器具、台所用具、コンロ、家具、釣り具、文房具 等