ある新商品のための特許戦略会議。

将来の模倣品を想像しながら、取得すべき特許の検討をしておりました。
かめやま こういう形の模倣品Aって、今回の新商品にとって、脅威になりますか?
技術部長 うーん・・・
かめやま 例えば。この模倣品Aだと、小型化や軽量化が犠牲されるものの、
生産コストが下がるため、他社が真似したくなると思います。
その結果、他社商品の値段を、貴社商品よりも安く設定できるので、
御社のお客様が他社に流れる可能性があります。
特に、外国製の場合、多少品質が低くても、購入コストが下ひくければ、そっちに流れてしまうことはよくありますよね
技術部長 なるほど。そういう観点では、この模倣品Aは、現実出来ではないかもしれません。
なぜならば、ここの加工・組み立てが難しくなるんです。
しかし、その観点でいえば、こういう模倣品Bはありえるかも?
かめやま なるほど。その模倣品Bは、作りやすくてよいですね。
その模倣品Bは、御社にとって脅威になりますか?
技術部長 うーん。なるかもしれませんが、業界の規制の中でグレーなので、うちでは見合わせました。
社長 そこの規制は、現時点で引っ掛かるのですが
将来、緩和される動きがあるとききました。
なので、模倣品Bについては、注意しておいた方が良いかもしれません。
かめやま なるほど。
しかし、模倣品Bだと、進歩性の主張の観点で、特許権の取得が難しいかもしれません。
なので、特許権取得が難しい場合に備え、意匠権取得についても併せて検討したほうが良さそうですね。

このような形で、技術部長と経営者と弁理士の3者で将来の模倣犯取り締まりを検討します。
社長からは、市場や競合の動向の観点から意見を出していただく。
技術部長は、ものづくり(設計、部品調達、生産、流通等)の観点から、
そして、こちらは、お客様の情報に基づき、
自社商品の競争優位性の整理を行いつつ
競争優位性が削がれるような将来の模倣品を想定し、
競争優位性を維持するための特許網の構築を提案します。
事業の参入障壁の検討は、事業を一緒に作っている感が強く、
俄然やる気になります。


