知的財産権のひとつである意匠権は、意匠登録することによりデザインの「模倣」から権利を守ることができます。そのため企業戦略として重要です。では、企業戦略から見る意匠権には、模倣防止対策以外に、どのような利用方法があるのでしょうか?
企業ブランドの構築と意匠権
意匠権とは、ご存じの通り「外観デザイン」について独占できる権利のことです。これにより、模倣品などから自社の商品を守ることができるのですが、「企業ブランドの構築」とも関連性を持っています。
ブランドは商品に対するお客様の信頼や企業の知名度、社員とお客様とのやり取りなど様々な要素によって構築されるものですが、意匠権もその要素のひとつなのです。
例えば、ブランドイメージにマッチしたデザインを制作した場合、そのデザインの保護が商標法のみでは難しい場合があります。このような場合には、意匠権の利用(デザインの保護)を介してブランドを構築するといった手法もあります。
意匠権とライセンス契約
意匠権は本来、創作した本人に帰属するものであるため、権利保護ばかりに目がいきがちです。
しかし、意匠権の実施権をあえて外部に許諾し、そこから対価を得るのも意匠権の利用方法のひとつといえます。
これは、いわゆる「ライセンス契約」と呼ばれるものです。
実施権の許諾といっても全面的に実施権を譲り渡すのではなく、地域・期間・内容など、許諾する範囲を設定して譲渡することができます。なお、たとえ意匠権者であっても、設定した範囲については独占的・排他的な効力が生じ、自ら実施することができなくなる場合があります。ライセンス契約において、意匠権者の実施を確保するか否かは、契約書の書き方によって変わってきますので、ご注意ください。
デザイン保護以外の意匠権の利用方法としては、主に上記が挙げられます。意匠権など知的財産権の取得や利用方法等にお困りなら、ぜひ専門家である弁理士へご相談ください。