日本の特許庁で取得した意匠権は、商標権・特許権等と同じく属地主義となるため、海外では保護されません。
そのため、海外進出の際は自社の優れたデザイン製品を模倣被害から守るために、新たに意匠出願を行う必要があります。これまで、海外の意匠出願は何かと煩雑な面が多くありましたが、日本がジュネーブ改正協定に加入したことにより、大幅に変化しました。
そもそもジュネーブ改正協定とは?
ジュネーブ改正協定とは、世界知的所有権機関(WIPO)が管理している国際条約です。国際意匠登録における手続き的・費用的負担の軽減を目的としており、日本、EU(欧州共同体)、アメリカ、韓国、シンガポール、オマーン、トルコ、モンゴル等多くの国と政府間機関が参加しています。
複数国の出願が一括で可能に
これまで、複数の国で意匠権を取得する際は、各国の特許庁へ出願する必要がありました。そのため、それぞれの国に対応した言語・書式・通貨で出願しなければならず、準備はもちろん、費用的負担も多大なものでした。
今では、ジュネーブ改正協定に基づき、単一書類(所定の様式)・単一言語(英語・フランス語・スペイン語のいずれか)・単一通貨(スイスフラン)で一括手続きが可能となっています。なお、出願方法としては、WIPOへ直接行う「直接出願」と、自国の官庁(日本の特許庁)へ行う「間接出願」があります。
意匠保護の内容
意匠の国際出願を行うと、原則として国際事務局に提出した「国際出願日」に国際登録されたものとみなされます。すなわち、国際出願日に各指定国の官庁に出願された場合と同一の効力が生じます。また、国際登録された意匠は、国際登録から半年後に国際公開されます。
国際登録の存続期間は国際出願日から5年となっているため、定期的な更新が必要です。なお、意匠は国ごとに登録されるものであり、審査は各国の意匠法に基づいて行われます。