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コストダウン発明に対する3つのチェックポイント

コストダウン発明に対する3つのチェックポイント

ご商売は、売値から仕入値で引いた部分(利益)を確保するもの。経営者であれば、業務改善等のコストダウンに関し、日々知恵を絞られていると思います。このようなコストダウンは、特許と相性が良い場合が多いです。

先日、このようなご相談を受けました。

弊所にご相談に来られたお客様は、とある建設系の方。

とある商品の発明をしたので、特許を取りたい!とのことでした。

1 発明の内容

その発明とは、建設現場で利用できる道具!!

こんな感じのモノです。

その道具を見せていただきながら、そのウリとなる部分を説明していただきました。

2 発明の経済的メリット

とある建設の工事現場にて、この道具を使うと・・・

従来10時間かかっていたものが、

この道具を使うと6時間で済んでしまう!!

というものでした。

この道具によれば、人件費を4割コストダウンできるということになります。

なかなか良い(ご商売ですぐに活用できそうな)発明です。

その理由はこうです。

仮に、建設工事の売値を人件費の2割だけ値下げしても、

 残り(2割)が利益となって会社に残る!

建設工事の受注に関し、売値が安いというのは、

発注元にとってもプラス。

今回の場合は、それ以上にコストダウンをしているため、

お客様(発注先)にとってもプラス!

つまり、

値下げをしながらも、

受注増と利益確保を見込めることができます。

WinWinの関係が構築できるモデルです。

このモデルであれば、右肩上がりが見込めそうです。

これは大きな武器になる!!

と、ここまでは良かったのですが、

この先に、困ったことがあります。

3 発明品を販売した場合の経済的デメリット

それは、現場で道具を使うと・・・

ライバル他社に知られてしまう・・・

つまり、ライバル他社に、道具の効果が知られていしまいますし

低価格での受注の仕組みがバレてしまう・・・

確かに

この道具のリリース直後では、売り上げが期待できます。

しかしながら、ライバル他社も同じ道具を使えることになってしまうと・・・

ライバル他社に模倣されてしまう・・・

つまり、価格面での競争力が削がれてしまう。

これでは、困ります。

こうした経緯があり、

特許を取得したほうがよさそうですね!

ということになりました。

4 特許の投資対効果

次に、投資対効果について検討しました。

この道具を使った場合、

 年間の工事件数×工事に必要な人数×時給×短縮時間

のコストダウンが見込めます。

例えば、売値として人件費の2時間だけ値引きしても残りの人件費の2時間が利益となる・・・

もう少し具体的な数字を挙げますと、

工事に必要な人数=5人

時給=3000円

短縮時間=4時間

とした場合

工事に必要な人数×時給×短縮時間

5人 ×3000円 × 4時間 = 6万円

1件の工事あたり、6万円のコストダウンが見込めることになります。

次のポイントは、この建設工事が今後何件あるのか、についてです。

例えば、

1年目:100件

2年目:200件

3年目:500件

であるとすると、

そのコストダウン額は

1年目: 600万円

2年目:1200万円

3年目:3000万円

となり、

売値としてコストダウン額の半分だけ値引きした場合、

利益として残りるのはコストダウン額の半分

つまり、

1年目: 300万円

2年目: 600万円

3年目:1500万円

となります。

つまり、とある工事に関し、

向こう3年間で2400万円の利益が見込める計算となります。

この2400万円の利益を守るために、

特許に費用をかける意義があれば、特許を出願したほうが良いとなります。

※ 特許の費用の典型例

  出願まで  :30~40万円 ※ 調査+出願

  特許権の取得:70~90万円 ※ 調査+出願+審査対応+成功報酬。

  意匠権の取得:40~50万円 ※ 調査+出願+審査対応+成功報酬。

   金額に印紙代が含まれます。

5 特許事務所からの提案

今回のケースは、特許出願をしましょうということになりましたが、一般的には、守るべき利益の対象によって、特許がよいのか、意匠登録が良いのか等を検討しますし、守るべきたい利益の規模によって、投資対効果のバランスが取れた提案をします。

例えば、利益が見込める要素が低い場合には、

とある条件を満たした場合に特許出願しましょう(特許出願の前に、○○を頑張りましょう)

だとか

とある条件を満たした場合に、特許取得をしましょう

といった具合です。

6 ポイント

上の例をまとめると、次の3つのステップに分かれます。

<STEP1> コストダウンの施策を思いつく。

<STEP2> 施策の実行によって、値下げ&利益確保の両取りができる。増収増益のモデル(道筋)ができる。

<STEP3> 施策の実行の副作用として、増収増益のモデルがライバル他社に知られ、そのモデルを模倣されてしまう

<STEP1>の後に、そのまま<STEP2>を行うと、ライバル他社の模倣行為によって、すぐに<STEP3>へ移行してしまいます。この結果、価格面での優位性が失われ、値下げ合戦の末、薄利のビジネスになってしまいます。

つまり、今回の場合の特許は、<STEP2>を維持しながら、<STEP3>への移行を阻止する手段として機能しているといえます。

7 まとめ

したがいまして、コストダウンの施策を思いた場合には、次の3つがポイントになります。

1 コストダウン施策による利益の大きさを見積もる

2 施策について模倣可能性を見積もる

3 模倣による利益減少を見積もる

そして、

 模倣による利益減少が無視できない場合

 上記の1~3の検討がうまくできない場合

には、特許や意匠登録の検討や特許事務所へのご相談をお勧めしますし、ご相談はできるだけお早目(遅くとも施策の実行前)をお勧めします。ご相談を早めに済ましていただきたい理由は後日書きたいと思います。

何かのご参考になれば幸いです。

かめやま特許商標事務所

弁理士 亀山 夏樹

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機械
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電気
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材料
食品、化粧品、美容クリーム、増毛用接着剤、塗料、工業用接着剤、コンクリート、緩衝材、プラスチックフィルム、光ファイバ、産業廃棄物等 等
ソフトウェア
自動ブレーキシステム、遠隔医療システム、通販システム、設備の検査システム、ゲーム、販売促進システム、充電管理システム、不動産管理システム、スマホアプリ、ビジネスモデル 等
日用品
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