弊所のお客様(中小企業・個人事業主)にも海外進出を検討されている方がおられます。
その背景としては、例えば、以下のようなものがあります。
1)日本の市場は縮小傾向にある。体力のある今のうちに、海外への足かがりを作っておきたい!
2)日本の市場でヒットした商品を、海外市場に展開したい!
それでは、海外進出の際に検討したいことは何でしょうか?
まずは・・・
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
そして・・・
自社商品・サービスにより収益があがるか?
いずれも大切です。
しかし、大切なことは、これだけではありません。
つまり、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に検討すべきこととがあります。
(続きは次のページに)
それは・・・
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に検討すべきこととがあります。
それは、
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
です。
★よくあるトラブル事例★
例えばこのような例があります。
1.現地の展示会に出展した場合
展示会に出展し、反響は良好・・・
販売数も徐々に立ち上がってきて、上々の滑り出し・・・
そこで、突然、商標権侵害の警告状が届きます。
商標権侵害・・・
つまり、当該国において、
自社商標(店舗名、サービス名、商品名等)の使用に違法性がある、ということです。
2.警告状の対処方法
警告状の対処方法としては、基本的には、以下の2つが考えられます。
案1)自社商品の名称変更
案2)ロイヤリティの支払うことを前提に、商標を使用する。
在庫品ラベルの変更費用やチラシの変更費用を考慮すると・・・
現時点での名称変更は避けたく・・・このまま使用したい!
と思われる方が多いと思います。
しかしながら、ここは、相手の合意が必要ですので、必ず使用できるとも限りません。したがって、案1の場合が多いというところが実態です。
3.問題の所在はどこに?
商標法、特許法、意匠法の世界では、日本の権利と外国の権利は別個のもので、日本の権利を持っているからといって、当然に、当該国でも同様の権利が認められる・・・とはなりません。
したがいまして、当該国へ進出する前にすべきことは、
自社商品の名称等の使用が合法であるか否か?
つまり、当該国において、
自社商品の名称等が、他人の登録商標になっていないか?
となります。
4.どうすれば?
かかるためには、当該国において、「自社の事業の障害となる他人の登録商標の有無」について調査する必要があります。この調査をクリアランス調査と呼びます。
クリアランス調査を行わない場合、上記のような、商標権侵害などの警告状をもらうリスクが高まります。また、現地の販売代理店と提携している場合、自社の損害のみならず、現地の企業から、商標権侵害による損害賠償を請求される恐れもあります。
したがいまして、当該国において、事業の合法性を担保する意味でも、クリアランス調査は必須項目となります。
5.クリアランス調査をすれば大丈夫??
これについては、次回に述べたいと思います。
6.まとめ
(1)海外進出の際に検討したいこととしては、
自社商品・サービスが、現地で受け入れられるか?
自社商品・サービスにより収益があがるか?
よりも、前に・・・
自社商品・サービスを、現地で合法的に販売できるか?
となります。
(2)クリアランス調査により、現地で合法的に販売できるかを確認する。
何かのご参考になれば幸いです。
かめやま特許商標事務所
弁理士 亀山 夏樹