はじめに
これまで、300社以上の中小企業に対して知財支援を行ってきましたが、そこで思うことは、
- ネーミングの威力を知らない方
- 名称の使い方(商標)について勘違いをしている方
が多いということです。
ご商売を行う以上、商品名や店舗名等を決めるネーミングという作業は避けて通れません。商品名等も一度決めてしまえば、繰り返し使い続けるので、商品名等を使うこと自体お金がかかりません。そして、「商標の相談にくる中小企業であれば、ネーミングについて知識がある方も多いのだろう」と思う方も多いかもしれません。
しかし、実際はそうではありません。繰り返しになりますが、弊所に商標の相談に来られる中小企業様の中では
- ネーミングの威力を知らない方
- ネーミングの使い方について勘違いをしている方
が本当に多いのです。
このことは何を意味しているのでしょうか?
想像ではありますが、「自社として、どのようにしてネーミングを行えばよいか?」といった点について、あまり時間をかけて検討されていないようにも思えます。事実、こちらからネーミングについてアドバイスした際、「今考えているネーミングは、ちょっと問題がありそうです。いったん持ち帰って検討しなおします」という方も少なくありませんでした。
そこで、「自社として、どのようにネーミングを行えばよいか?」という検討の参考になればと思い、ネーミングに関する記事をシリーズで掲載することにしました。
商標って身近なもの
スーパーマーケットでは、たくさんの商品が並んでいます。
スーパーマーケットで、皆さんは何を買いますか?
紅茶?ウーロン茶?酎ハイ?ビール?
私はビールが好きなので、ここでは、缶ビールを買うことにしましょう。
ビール売り場に到着しました。
色々なビールが並んでいますね~
さて、ここで質問です。
質問1:①②のビールがあります。皆さんならどちらを買いますか?(値段は同じです)
① 柄1のビール
② 柄2のビール
では、条件を変えて、同じ質問をします。
問2:①②のビールがあります。皆さんならどちらを買いますか?(値段は同じです)
① No Brand のビール
② ”KIRIN” Brand のビール
商標のはたらき
<質問1で①を選んだ人へ>
質問2では①②のどちらを選びましたか?きっと、②を選んだ人が多いのではないでしょうか?
<質問1で②を選んだ人へ>
質問2では①②のどちらを選びましたか?きっと、②を安心して選んだ人が多いのではないでしょうか?
質問1,2を通して、答えが変わった理由はどこにあるのでしょうか?
質問1,2を通して、皆さんの心の中で何が変わったのでしょうか?
それは、”KIRIN”が、あなたの心を刺激したからに違いありません。
この”KIRIN”のようなブランド名を”商標”と呼びます。
商標は、お客様が自社の商品を選ぶためのものといえます。
「あのお客様が、他社商品ではなく、自社の商品を選んでほしい!」
と思うのであれば、
自社の商品力を上げることはもちろんのこと、
自社の商標の活用についても意識する必要があります。
商標の種類
お客様を刺激することができる商標には、どのような種類があるのでしょうか?
- 文字からなる文字商標(デザインされた文字からなるロゴタイプ)
- デザインされた図形からなる図形商標(ロゴマーク)
- キャラクターの形状である立体商標
があります。
さらに、近年では、新しい商標として、音、色、ホログラム、動き、位置等の商標も追加されました。
出典:事例から学ぶ商標活用ガイド(特許庁)
使いやすい商標
このように、商標には、
- 文字商標
- 図形商標
- 立体商標
- 音の商標
- 色彩の商標
- ホログラム
- 動きの商標
- 位置の商標
と実にさまざまな種類があります。
この中で、ご商売に一番使いやすい商標はどれだとおもいますか?
答えは 文字商標です。
その理由は、次回にお話ししたいと思います。
<次回予告>
- 第2回 文字商標の力
- 第3回 売上に貢献するネーミング・商品名
- 第4回 ビジネスにおける残念なネーミング・商品名
- 第5回 「売上に貢献するネーミング・商品名(商標)」に潜む危険な罠
- 第6回 「売上に貢献するネーミング・商品名(商標)」を守る方法
- 第7回 ネーミングを決める際に気を付けたいこと
- 第8回 商標活用の事例紹介