特許の初心者の方から「こんなアイデアでも特許になるんですか?」という声をよくいただきます。本当に多いです(苦笑)。なので、今回は、「特許になるアイデア」について、初心者の方でも簡単に判断できるようなチェックポイントをご紹介します。
クリアーしたいポイントは【4つ】ありますが、初心者の方が自分でチェックできるポイントは、<その1>と<その3>の【2つ】になります。
順を追って説明しますね。
●その1● 自然法則を利用しているか否か?
最初のポイントは、以下のいずれか1つに該当すれば、ほぼクリアーできます。
ア:物に関するアイデア
イ:物を利用するアイデア
ウ:データ処理のアイデア(いわゆるプログラムですね)
※パソコンのようなハードウェアが前提になります。
エ:物を製造するアイデア
<事例> ある金属加工について、相談を受けた場合。
加工道具、加工装置の場合 ⇒ アに該当します。
加工道具、加工装置の使い方の場合 ⇒ イに該当します
加工の手順の場合 ⇒ イに該当します。
加工装置用の制御プログラムの場合 ⇒ ウに該当します。
材料から金属製品を生む手順 ⇒ エに該当します。
●その2● 技術的思想であるか否か?
2番目のポイントは、「相手に伝えることが可能なアイデア」であれば、ほぼクリアーできます。しかし、ノウハウであるか思想化であるかは、本人だけでは判別がなかなか難しいことが通常と思います。ということなので、ここはスルーしてかまいません(笑)
●その3● 新しい発明であること(業界では「新規性」といいます)
新規性は、「新しい要素」が見つかりさえすればOKです(ほんのチョットでも十分な場合があります)。このため、4番目のポイントに比べてハードルが低いです。さらに、ここのポイントとしては、「既存の部品同士の新しい組み合わせ方」も、新しい要素として評価してくれるということです。
例えば、従来の鉛筆と、従来の消しゴムがあったときに、これらの組み合わせの仕方が新しければ「クリアー」となります。ここで、「新規性」のハードルを上手にクリアーする方法を知っていると、より広い権利の取得が見えてきます。新規性のクリアーの仕方は、重要なポイントですよね。
●その4● 容易に思いつく発明でないこと(業界では「進歩性」といいます。)
ここをクリアーできる典型例としては以下の2つがあります。
= 新たな効果のある発明 =
鉛筆の後部に消しゴムをつけるという発明のミソは、「鉛筆と消しゴムの結合部」を「鉛筆の後」に設定したことですね。
この効果は、
書くときに、机から消しゴムを落とさずに済む。
書く作業と消す作業を迅速に行うことができる。
etc
です。 上の2つの効果は、「従来の鉛筆」や「従来の消しゴム」の単体では得られず、これらををうまく結合させたことで、初めて得られた効果(+1)ですよね?いわゆる、「1+1=3」のパターンですね。
= 意外と良かった発明 =
通常、不純物の含有量は少ないほうがよいのにもかかわらず、あえて、不純物の含有量を増やしてみたら、別の新たな効果が出たよ!いわゆる、「タブーの採用」というものですね。
★☆★ まとめ ★☆★
いかがだったでしょうか?<その1>と<その3>のチェックポイントは、自分でもチェックできそうですよね? ”なんとな〜く”で十分ですからね。
一方、<その2>の技術の思想化と、<その4>進歩性の主張は、初心者の方では苦労します。しかし、「ノウハウらしきもの中から技術を思想化する作業」や「進歩性の主張のひねり出し」が、経験豊富な弁理士の力の見せ所の1つと思っています。
まずは、<その1>と<その3>をチェックして「脈がありそうだな」と思われた場合には、できるだけ早く・・・そう!他の人が思いつく前に、ご相談くださいませ。
折角思いついた良いアイデア、この機会を大切にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。