千葉県鎌ケ谷市で特許事務所を経営している弁理士かめやまです。
先日、日経新聞で、こんな記事を見つけました。
「未上場株、初の売買仲介 専業証券が年内に事業開始」
スタートアップの資本政策を支援するスマートラウンドが、未上場株式の売買を仲介する証券会社をつくり、年内にも事業を始めるようです。

さて、「未上場株式」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか?
上場会社の株式であれば、証券市場で売買できます。
しかしながら、未上場会社の株式の場合、創業者や従業員、ベンチャーキャピタルが株式を持っていても、買い手を探すのが大変ですし、買い手が見つかったとしても会社の承認が必要になる場合もあります。
そのため、これまでは、①IPOする②会社を売却する といったタイミングまで、現金化できないことが多かったわけです。
ところが、今回のような売買の仕組みが整うと、創業者や従業員が保有株式の一部を現金化したり、ベンチャーキャピタルが投資資金を回収したりしやすくなります。
また、会社としても、 早くIPOしないと!と焦らずに、じっくり事業を育てる選択肢が増えるかもしれません。
もちろん、上場株式のように、誰でも自由に売買できるという話ではありません。
投資家の範囲や情報提供、リスクの説明など、投資家を守るためのルールがあります。

さてさて、ここからが知財のお話です。
未上場株式を売買する機会が増えると、「この会社の株式には、なぜこの値段が付くのか?」という説明が必要になります。
もちろん過去の売上や利益も重要ですが、成長途中の会社の場合、それだけでは将来の可能性を十分に説明できません。
そこで、会社のビジネスモデルが生み出すキャッシュフローの源泉はどこにあるのか?という点を説明する必要があります。
具体的に言えば、
①技術
②ブランド
③顧客との関係
④他社が簡単にまねできない仕組み
といった、数字に表れにくい強みも重要になります。
そうです、知財財産やこれを保護する知財財産権も、「キャッシュフローの源泉」になるのです。

ただし、「特許をたくさん持っています!」だけでは、会社の価値を十分に説明できません。
①その特許が主力商品を守っているのか?
②他社の参入を難しくできるのか?
③将来の売上につながるのか?
ここまで説明できて、初めて知財と企業価値がつながります。
また、発明がきちんと会社のものになっているか、共同開発先との権利関係に問題がないか、商品名の商標を押さえているか、といった点も確認されます。
知財は、事業を守るだけのものではありません。
自分たちの会社は、何が強いのか?
その強さを、どうやって維持するのか?
これらを投資家に伝えるための道具でもあります。
未上場株式が売買される時代になると、「知財を持っている会社」と「知財を企業価値の説明に使える会社」との差が、少しずつ見えてきそうですね。

